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愛おしいキミに極甘な林檎を
第61章 真実の愛と花嫁の決意

大切なものである思い出を私がなくしてソラ先輩を傷つけている……。
なんでもないような顔をしているけど心の中では悲しんでいそうだ。
愛している人に忘れられてしまうつらさを考えると、胸が締め付けられるような思いになる。
でも視線を落として水面を見ている私を抱いているソラ先輩の力は変わらなかった。
「気を失った日からまだ時間があまり経ってないんだから、過去の記憶が曖昧なのは仕方ないよ。
……それに今はすぐに思い出そうとしなくてもいいんじゃないかな」
「えっ……」
冷静な声で聞こえてきた意外な答えに驚いた私はソラ先輩の方を振り向いた。
「私に忘れられるのが怖くないんですか……?」
「怖いけど、怖くないよ。忘れても風子は俺のことをどこかで覚えてるって信じてるから」
「それでも私だったら怖いです……。忘れられてしまったらまた一からやり直しじゃないですか……」

