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愛おしいキミに極甘な林檎を
第62章 愛おしいあなたに……

「……忘年会に行ったことも覚えてないのか?」
「ぼうねんかい……?そういうイベントもあったんですか」
「いいや、今の質問は忘れてくれ。顔と名前を覚えるのには……、あれがちょうどいいか!」
郁哉さんはデスクの上に置いたお弁当を開けるのではなく、引き出しから何か取り出した。
自分のデスクからは詳しく見えないけれど、何かを書いていることだけは分かった。
しばらく待っていると、郁哉さんが私の方に手を伸ばしてシンプルな付箋をつけた一枚の写真を渡してきた。
「これをやる。年末に撮った集合写真だ。誰がどれなのか苗字を書いておいたから」
付箋には写真に写っている順番に名前が書かれていた。
人数がそこまで多くないのもあって、文字と照らし合わせてすぐに分かるから助かる。
「ありがとうございます。これはいいカンニングペーパーになりそうです」

