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愛おしいキミに極甘な林檎を
第62章 愛おしいあなたに……

「本日は俺と風子の結婚式に出席してくださりありがとうございます」
その会話がはっきりと聞こえていたはずなのに、ソラ先輩は何食わぬ顔で失恋の会の中へと入っていく。
すると、五人がお酒が入っているコップを置いて一斉にこちらを向いてきて私は恥ずかしく思いながらも少し俯いた。
「あっ、おめでとうございます。噂をすればメインの二人がやってきましたね。どうぞ座ってください」
理人さんが椅子を並べてくれた椅子にソラ先輩が座ったから、私も隣に腰を下ろして膝の上に手を置く。
「オイ。今日の風子はなんだか借りてきた猫みたいだな。いつもと違くねえ?」
記憶を失っていることを隠していたのに颯太さんに異変を気づかれてドキリとする。
「今日は結婚式だから特別に緊張しているんだよ。風子の知らない人も沢山いたからね」
「そうだとしてもなんで烏龍茶を飲んでいるんだよ。夫がいるんだから今日くらい酒を飲めって。
前は塑羅緒の隣で喜んで飲んでいたじゃねえか」

