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愛おしいキミに極甘な林檎を
第63章 愛おしいキミに……

指や手を裏返して確かめるように触れてじっと観察する。
分かったのは男性ていきな綺麗な手をしていることで特に変わったことは何もなかった。
「何も隠してないよ。触れてもらえて嬉しいけど」
「すみません。楽譜はどこにあるのかなって」
「ふっ、それは脳内だね」
「脳内……?どうやって頭の中に隠すんですか?」
五分程ありそうなメロディの楽譜をそんなところに隠し持っているのか驚くとまた小さく笑われる。
それは下に見ているようなものではなくて、見守ってくれるような温かいものだった。
「全部覚えているんだよ。……ピアノ、弾いてみる?」
「はい。弾いてみたいです」
電子ピアノを手前に置かれた後、白と黒の鍵盤の上に両手を置く。
教えられなくても「ド」の音が出る場所がすぐに分かって、ドレミファソラシドっとゆっくり鍵盤を押していった。
「ふふっ、私でもできました」

