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愛おしいキミに極甘な林檎を
第63章 愛おしいキミに……



幼い子供でもできる簡単なことだけど両手でスムーズに弾けることを知って欲しくてやって見せたかった。


すると、音を外さずに上手くできた私を褒めてくれるようにまた微笑んでくれる。


それで嬉しい気持ちになった私はもう一度白い鍵盤を指で押して聞こえてくる音を楽しむ。



でも始まったばかりの時にインターホンが鳴って私はピアノから手を離した。


「なんだろう。ピアノの音は控えめにしていたんだけどな。オレが出るから待っていて」


「…………」



電話をしているところは見ていないし、訪問者がくるとも聞いていない。


姿を隠して少し覗くくらいなら大丈夫だろう……。



どんな人が来たのか確認するために、玄関に繋がっている廊下に静かに近づいて様子を見る。


玄関のドアを開けた向こうには、私たちよりも年上と見られる女性が三人ほどいた。


ここからではよく見えないけれど、あまりいい表情をしているようには見えない。


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