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愛おしいキミに極甘な林檎を
第65章 番外編:Totus tuus

「気にするな」
少し口角を上げてそう言った郁哉さんは私を手招きしてもう少し近づくように手招きする。
まるで他の社員に知られたくないことでも言いたいかのように……。
とりあえず警戒しながら耳を傾けてみると、やはり私にこっそり伝えたかったのか耳の方に手を近づけてくる。
「……二人きりになった時に乙羽にとって不都合な話をさせてもらうが、それでチャラにしてやる」
「はっ、はい……?」
「課長、乙羽さんと内緒話ですか?セクハラしないように気をつけてくださいよー」
「はははっ、仕事の話だから大丈夫だ」
同僚に話し掛けられて笑っている郁哉さんの隣で、私はまただらしなく口を開けたまま立ち尽くしていた。
しばらく頭が回らなくなってからこっそり言われた話を脳内でもう一度再生してみる。
いやいやいや、大丈夫じゃない。どこが大丈夫なんだ。

