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愛おしいキミに極甘な林檎を
第65章 番外編:Totus tuus


私の次に職場にやって来たのは郁哉さん。


他にまだ誰も来ていないし、こちらの仕事場へ入ってきそうな人も見当たらない。


郁哉さんのことを好きだった頃はこの状況を心待ちにしていたのに今はとても気まずかった。


でも挨拶はしたから上司のことを無視はしていないし、仕事をしに来ているのだからしっかりと働いていれば文句を言われる筋合いはないだろう。


大きなミスをしてしまった事実は消せないけれど……。



「乙羽」

「はっ、はい!?」



「先週頼んでいたデータの打ち込みは終わったか?」


「終わりました!……急いでUSBに保存して渡しますね」


急いでパソコンを操作し、入力し終えていたデータを保存してからUSBを抜く。


いつもだとここまでやっておくんだけど、色々考えていたせいでやり忘れていた。


「できました!今渡します」


「そんなに急ぎではないから焦らなくていいぞ……?」


「いや、でも忘れていた私が悪いので……、あっ……!?」


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