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愛おしいキミに極甘な林檎を
第19章 誘惑と片思い

「その選択をしないで痛みも知っている風子さんはきっといい母親になれると思いますよ」
優しい言葉を聞いて目に涙が滲んでくる。
先が見えない不安もあるけど、どことなく寂しい気持ちも混ざっていた。
金曜日の朝。仕事に行く前に祖父と廊下ですれ違った。
「風子よ。あの失礼な小僧と本当に会っていないのか」
「会っていません。会社から真っ直ぐ帰って来ているでしょ。
それに今は他の結婚相手を探していますので、またしばらく時間を頂きます」
「そうか。それでよい。早くひ孫の顔を見たいが待つとしよう」
「はい。それでは会社にいってきます」
明日から連休になるのもあって足取りは軽かった。
今年も楽しみなゴールデンウィークがやってくる――――

