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第19章 誘惑と片思い

「どうして分かるんですか……」


「鈍感な僕でも一緒に住んでいれば分かってきますよ」


二人が共謀している疑いも少しあったけど、理人さんを信じて那砂さんに提案されたことを伝えた。


子供さえ産めば私は祖父から解放されることを話すと、こくんと頷かれる。


「そうですね。はっきり言いますと、僕も最初はそう思っていました。子供さえ産んでもらえばそれでいいと……」


「あんなに私の血を欲しがってましたもんね」



「ですが、風子さんの生い立ちを知ってからそれはいけないことだと思いました。
小さい頃に産みの母親に捨てられたこと、自分の子供にも似たような思いはさせたくないですよね」



「はい……。だから私はそれだけはしたくありません」