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愛おしいキミに極甘な林檎を
第23章 婚姻届

「まだしてないですよ」
仕事で疲れているのかねちねちとしている話し方が少し癇に障る。
「那砂びっくりしちゃった。風子ちゃんが結婚するのは彼氏じゃなくて同じ会社の上司だったなんて。
まっ、結婚相手が理人くんじゃないならどうでもいいんだけどー」
そう言って水やりに戻り、花の方を見て私に感心を示さなくなった。
静かになってジャーッとじょうろから水を流す音が聞こえた時、一つ気になっていたことを思い出す。
「あの……、那砂さんは颯太と知り合いなんですか」
「うん、お友達だから~。それを知ってるってことは颯太くんと会ったのね」
「ゴールデンウィークの時に会って、那砂さんによろしくって……」
「憐れな男よね~。従兄弟に元カノをとられちゃってから恋愛はもうこりごりだとか言っているんだから」
「…………」
「でも……、もっと憐れなのは風子ちゃんの彼氏」

