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愛おしいキミに極甘な林檎を
第23章 婚姻届

「…………。今はもう弾けないから」
「大学生の頃に弾いていたじゃないですか」
高校時代の先生の結婚式に招待された時にソラ先輩は余興でピアノを弾いていた。
この電子ピアノで練習をして、ピアノの弾き方と楽譜の読み方と知らなかった私に教えてくれた。
「ごめん。無理なんだ」
「恥ずかしがらないでいいですよ。私しか見てないんですから。……ねっ?」
「……弾けないって言ってるだろ!」
鍵盤の上にソラ先輩の手を持っていこうとして右手に触れたら振り払われた。
今まで私から触って嫌がられることがなかったからその態度が信じられなかった。
しつこく迫ってしまった自分も悪いけど、拒否されたショックで言葉を失ってしまってシーンっと静まり返る。

