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愛おしいキミに極甘な林檎を
第23章 婚姻届

「どうぞ」
ソラ先輩の胸に飛び込むと背中に手を回されて頭を撫でられる。
これが何よりの癒しであって仕事の疲れも吹き飛ぶ。
猫のように甘えていると壁に立て掛けてあった物が目に止まった。
「あ、電子ピアノだ!」
懐かしくて触りたくなってそのピアノの元に行き、床に置いて電源を入れる。
座って覚束ない指で鍵盤を押していると隣にソラ先輩が来て私の様子を眺めていた。
「売ろうと思ってクローゼットから出しておいたんだ」
「えっ!?売っちゃうんですか……?」
「うん。使わないから」
「簡単な曲でいいので弾いてくださいよ」
「えっ……」
「私、ソラ先輩の弾くピアノが好きなんです。優しくて聞いてると癒されるんですよ。売る前に聞きたいです」
肩を寄せて胸を弾ませながら言うとソラ先輩の顔が曇った。

