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愛おしいキミに極甘な林檎を
第27章 婚姻届の行方

こんな時に誰かが近くを歩いてくれていればいいのに周りに誰もいない。
何を言われるのか怖くなって財布をグッと握った。
俯くと課長は私の頭をぽんぽんと撫でてくる。
「冗談にしなければ良かったなとは思う。……そう言えば昨晩に乙羽のお爺さんから電話があったぞ」
「げっ……、祖父がなんと言っていたんですか?」
「終わったはずの出張から帰って来ないから心配していたようだ」
きっと、いきなりいなくなったとか思って怒っていると思う。
しかも今回は理人さんにさえ連絡していない。
今日こそ帰らないといけないから二人になんと言われるか考えるだけで憂鬱だ。
「だが、大丈夫だ。オレと一緒にいると言っておいた」
「え……」

