この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
愛おしいキミに極甘な林檎を
第28章 結婚と彼女

「……すみません。この結婚はどうしても受け入れられません」
破れた婚姻届を再び視界に入れると胸が強く締め付けられる。
でもこれで良かったんだ……。
「郁哉君はなぜ怒らないのだ!?」
「風子さんがこの結婚を望んでいないと分かっていたからですよ。
オレは好きだったので最後まで頑張ってみたつもりですが風子さんがこうなら仕方ありません」
頭に血が上っている祖父は歯を食いしばってテーブルを叩いたこぶしに強く力を入れた。
その怒りを落ち着かせるように理人さんが背中を抑えに入る。
「千十郎さん、孫は可愛いですか?」
「…………」
「孫を信じて大事な未来の選択を待ってあげるのも祖父としての務めではないでしょうかね?……非常に残念ですけど風子さんとの結婚は諦めます」

