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愛おしいキミに極甘な林檎を
第28章 結婚と彼女

深々とお辞儀をした郁哉さんは振り向きもせずに家から出て行った。
一言でもいいからせめて謝りたくて走って後を追う。
「郁哉さん……!」
幸い、車に乗り込む前に名前を呼ぶと郁哉さんは振り向いて立ち止まってくれた。
「乙羽……」
切なそうな表情を向けられて胸が苦しくなりながらも近づくと急に郁哉さんに抱き寄せられた。
強く回される腕から甘くほろ苦い最後の愛を感じた。
「ごめんなさい……。私がはっきり言わないばかりに郁哉さんをいっぱい傷付けちゃいました。……本当にごめんなさい」
「いや、こちらこそ悪かった。乙羽が結婚する意思がないと分かっているのに勝手に話を進めて意地悪過ぎたな」

