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愛おしいキミに極甘な林檎を
第30章 低俗な野望と片思い

「ハム五郎がしんじゃったぁ……」
屈んで様子を見ると弟の両手に目を閉じて横たわっているハムスターが乗っていた。
見ていても手足がぴくりとも動かない。
まるで安らかに眠っている顔をしながら凍っているようだった。
「昨日は元気にご飯食べてたのに…今日になって冷たくなってたの……」
初めて見る動物の死にどうしてすればいいのか分からなくて、泣きついてくる妹を抱き締めていると理人さんがやって来た。
「生きる物にはすべて時間に限りがあって必ずお別れが待っているんですよ」
「…………」
これが死ぬということ……。
理人さんは弟を慰めながらハムスターの亡骸を少し大きめのプランターに埋めていた。
小さな体に少しずつ土が被っていく。
いつも理人さんの弟と妹が家族のように可愛がっていているところは見掛けていた。
自分が世話をしていたわけでもないのに胸がズキッと痛んで深く苦しくなる。
「パパとママと同じところにハム五郎もいっちゃったの?」

