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愛おしいキミに極甘な林檎を
第31章 未来への誓い

足を止めて考えてみると幼い二人と一緒に見た綺麗な桜の花びらが脳裏をよぎった。
その勘を頼りに花見に行った品紅山に行ってみる。
すると、ずぶ濡れになりながらも桜の木を眺めている理人さんの弟と妹がいた。
「風子姉ちゃん……!」
「見つかって良かった……。私も理人さんも心配したんだからね」
二人を両手で抱き締めてから、理人さんに見つかったことを伝えるとすぐにやって来た。
「どうして勝手にいなくなったりしたんですか!」
「兄ちゃん……、ひっぐ……、ごめんなさい……」
叱られた弟と妹は大声で泣き出して私から離れて理人さんの方に抱き着いていった。
本当に仲のいい兄弟だ……。
とても心配していたのか、雨のせいなのか理人さんの頬にも雫が零れ落ちていた。
「ハム五郎のお墓にきれいな花を供えたかったんだ……。前にここで見たピンク色の花がきれいだったから……」
「…………。桜は春の短い期間にしか咲かない花なんですよ。ハム五郎に供える花なら明日一緒に見つけてあげますから帰りましょう」

