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陰は陽よりも熱く
第1章 木立ちに佇むもの
微睡むようなふわふわとした感覚…
これは夢?
闇に青く光る苔を踏みしめながら向かった先には
長い髪の女の子が立っていた。
声を掛けると周りの木々に反響してエコーがかかる。
『どうしたの?暗いから迷子になっちゃったのかな?』
7~8歳くらいのその女の子は大きな黒い瞳に涙を浮かべて頷く。
『っ……っ…足が痛くて…歩けない…っ…』
しゃくりあげながら答えるその子の頭をなでる。
『わかったっ大丈夫!お姉ちゃんがおんぶしてあげるからね!』
そう意気込んで背中を向けた途端、足元が崩れる。
視界が歪んで急に支えを失った体が底知れぬ闇に呑まれる
―――っっ落ちる!!
ぐにゃり
柔らかく温かいものに着地した。と思ったら
ブニャアァァッ!
絶叫に近い猫の鳴き声で目が覚めた。
あたしの体はベッドから半分落ち、飛び出た足で飼い猫の金太郎を思いっきり踏んづけていた。
「…っああ!金!ごめんっ!」
フーフー!
はは、怒ってる…あとで煮干しあげよう
「変な夢…だったなぁ…」
カーテンを開けると窓の下には青々とした緑の木々と赤い鳥居が見える。
パンパンッ
二階の窓から柏手を打ってお願いするのはあたしの日課だ。
「今日もいいことありますようにっ」
「なのは~ご飯よ~」
「はぁい!今いく~!」
いつもと変わらぬ朝
少し違うと言えば踏んづけたのを恨んでか、あたしが家を出るまでずっと金太郎が怒って近寄って来なかったことくらいだ。
…と思っていた
これは夢?
闇に青く光る苔を踏みしめながら向かった先には
長い髪の女の子が立っていた。
声を掛けると周りの木々に反響してエコーがかかる。
『どうしたの?暗いから迷子になっちゃったのかな?』
7~8歳くらいのその女の子は大きな黒い瞳に涙を浮かべて頷く。
『っ……っ…足が痛くて…歩けない…っ…』
しゃくりあげながら答えるその子の頭をなでる。
『わかったっ大丈夫!お姉ちゃんがおんぶしてあげるからね!』
そう意気込んで背中を向けた途端、足元が崩れる。
視界が歪んで急に支えを失った体が底知れぬ闇に呑まれる
―――っっ落ちる!!
ぐにゃり
柔らかく温かいものに着地した。と思ったら
ブニャアァァッ!
絶叫に近い猫の鳴き声で目が覚めた。
あたしの体はベッドから半分落ち、飛び出た足で飼い猫の金太郎を思いっきり踏んづけていた。
「…っああ!金!ごめんっ!」
フーフー!
はは、怒ってる…あとで煮干しあげよう
「変な夢…だったなぁ…」
カーテンを開けると窓の下には青々とした緑の木々と赤い鳥居が見える。
パンパンッ
二階の窓から柏手を打ってお願いするのはあたしの日課だ。
「今日もいいことありますようにっ」
「なのは~ご飯よ~」
「はぁい!今いく~!」
いつもと変わらぬ朝
少し違うと言えば踏んづけたのを恨んでか、あたしが家を出るまでずっと金太郎が怒って近寄って来なかったことくらいだ。
…と思っていた