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陰は陽よりも熱く
第2章 紅蓮の炎
俺が使役してる式神の数も今は両手で足りないくらいになっていた。
中でも力のあるものを選んで夕方には近隣の偵察にあたらせるようにもなった。
女の姿になるのを好むのは
『蝶氷(ちょうひ)』
最近はスーツ姿が気に入っているらしい
『近くに物の怪はおりませんが怨念の高まる気配がございますわ…』
「わかった……戻れ 」
『…主様…お気をつけ下さいませ…
わたくしを呼び出して頂けるのは嬉しゅうございますが、お疲れのご様子…どうぞ…ご自愛を…』
蝶氷は俺の胸に抱き締められないと消えたがらない。
色香を漂わせながら俺の胸に飛び込みうっとりと目を閉じるとようやく蝶に戻って消えた。
式神を使うようになってから確かに消耗が激しいが…
「陰陽師としての式神の能力と倒す対象のものの属性を見極め、使いこなすことができてようやく一人前だ!」
と、爺なら言う
実際、式神たちはそれぞれ性格が違い面白い
力のあるものほど打つと体力を消耗する
…にも関わらず…七葉は黒い怨念を背負って現れ――
俺は蝶氷を打った後のくたくたな状態から二回連続で式神を打つ羽目になった…―――
恐怖で立てない七葉は涙は流していないが俺の脚にしがみついて震えていた。
――はぁ…
思わず崩れ落ちたくなる。
忘却の呪は使いたくない…
俺は…どんな状況になっても放っておけない…
「七葉」
「…な…なによっ」
「ド阿呆が!俺の視界に入った途端これだ…っ、今日限り何があっても知らんからな!」
俺がこうして突き放しても、近づいてこようとするなら…いっそ側にいて守った方がいいのかもしれない――
そんな考えが頭をよぎったが、掻き消し
立てない七葉を背中に背負って送る。
洗いたてのシャンプーの薫り
柔らかい肌の感触を背中に感じて体温が上がる。
3年と少しの間に成長した七葉…
「……あの…アリガト…ね」
僅かに声に艶がこもる
「なにがだ」
「たすけて…くれた…でしょ…?」
…それは――
俺がお前が泣くのに弱いから
お前が傷つくのを見たくない
巻き込みたくない
だから遠ざける
この胸がお前の体温を感じてどんなに早く打ち鳴らしていても
紅蓮の炎のように焦がれる想いを秘めていても…
中でも力のあるものを選んで夕方には近隣の偵察にあたらせるようにもなった。
女の姿になるのを好むのは
『蝶氷(ちょうひ)』
最近はスーツ姿が気に入っているらしい
『近くに物の怪はおりませんが怨念の高まる気配がございますわ…』
「わかった……戻れ 」
『…主様…お気をつけ下さいませ…
わたくしを呼び出して頂けるのは嬉しゅうございますが、お疲れのご様子…どうぞ…ご自愛を…』
蝶氷は俺の胸に抱き締められないと消えたがらない。
色香を漂わせながら俺の胸に飛び込みうっとりと目を閉じるとようやく蝶に戻って消えた。
式神を使うようになってから確かに消耗が激しいが…
「陰陽師としての式神の能力と倒す対象のものの属性を見極め、使いこなすことができてようやく一人前だ!」
と、爺なら言う
実際、式神たちはそれぞれ性格が違い面白い
力のあるものほど打つと体力を消耗する
…にも関わらず…七葉は黒い怨念を背負って現れ――
俺は蝶氷を打った後のくたくたな状態から二回連続で式神を打つ羽目になった…―――
恐怖で立てない七葉は涙は流していないが俺の脚にしがみついて震えていた。
――はぁ…
思わず崩れ落ちたくなる。
忘却の呪は使いたくない…
俺は…どんな状況になっても放っておけない…
「七葉」
「…な…なによっ」
「ド阿呆が!俺の視界に入った途端これだ…っ、今日限り何があっても知らんからな!」
俺がこうして突き放しても、近づいてこようとするなら…いっそ側にいて守った方がいいのかもしれない――
そんな考えが頭をよぎったが、掻き消し
立てない七葉を背中に背負って送る。
洗いたてのシャンプーの薫り
柔らかい肌の感触を背中に感じて体温が上がる。
3年と少しの間に成長した七葉…
「……あの…アリガト…ね」
僅かに声に艶がこもる
「なにがだ」
「たすけて…くれた…でしょ…?」
…それは――
俺がお前が泣くのに弱いから
お前が傷つくのを見たくない
巻き込みたくない
だから遠ざける
この胸がお前の体温を感じてどんなに早く打ち鳴らしていても
紅蓮の炎のように焦がれる想いを秘めていても…