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陰は陽よりも熱く
第3章 埋もれていた想い
職員室から聞こえてくる叫び声はよく聞けば家庭科担当の女教師のものだ。



「…あっ!……いやぁっ!…ゃめッ…やめてくださいっ…!教頭先生っ!」


「ハアッ…!ハァッ…!」


教頭のものらしい荒い息づかいが聞こえてくる。



外の男子生徒同様、目の前の女を欲望のままに陵辱する鬼畜と化している…



固まる蓮実を背中に庇いながら窓の物の怪を問い詰める。



「…お前が操って居るのかっ…!」



裂けた唇から涎を垂らしながら笑う異形のものはさも可笑しそうに笑う


『なぁに……我慢せず好きにしろよ…と言ってやっただけだ……くく……
欲の深いやつほど鬼畜になるのも容易い……面白いな……』


くしゃりと顔を歪ませて蔑み、あざけり笑う



「……っ!なんの目的でこんな…っ」


『簡単なことだ…喰うためさ……
悲しみ…苦しみ…欲望にまみれた魂は美味いんでなぁ…』


裂けた唇を長い舌でべろりとなめる。




背中に触れる蓮実の手が震えている



学校の敷地内は今や得体の知れないもの達に支配された空間


鬼にそそのかされて理性を失った人間が他にもいたら襲いかかってくるかもしれない


迂闊に外へも出られない

俺から離すつもりは毛頭ないが…


こんな常軌を逸した状態でなにが出来る…っ?!



己の無力さに歯噛みしながらも向き直って蓮実を正面から抱きしめた。



「いいかっ…離れるな…!
絶対俺が守るから!」


「……っ…センセ…っ」


腕の中で涙ぐむ蓮実の顔を見て誓う

なにがあっても守る―――!!


愛おしい人を腕の中に隠しながら笑う鬼達をただ睨みつけていた。


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