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陰は陽よりも熱く
第1章 木立ちに佇むもの
戸惑いながらどこかうれしくて、そっと肩に手を乗せて身を預ける。


シャツ越しにでもすぐ体温が伝わってくる。




あたしを背負った創護は立ち上がると無言で脱ぎ散らかしていたミュールを拾って手に持たせてくれた



ヤバい…ドキドキする…かも


「あ…のさ、あたし重くない…?」



「なら降りろ」



「いや、歩けないし…………あの……
アリガト…ね…」


「なにがだ」



いろいろ訳わかんないこと有りすぎて破裂しそうだけど…
でも…



「たすけて…くれた…でしょ…?」


ひんやりとした夜風の中、創護の体温にとても安心させられながら石段を降りていく



「敷地内にデカい怨念持ち込むから祓っただけだ」




「ね…創護いつからあんな…こと出来るようになったの…?」



「…さあな…」



木立にざわざわと優しい風があたり少しだけ創護が歩を止めた。



鳥居の少し手間の御神木の前だった…


創護は少しだけあたしを振り返った。



「どこかで見たのか…あの地縛霊のこと」


「夢でね…あの子…足が痛いって泣いてたのをおんぶしようとして…目が覚めた」



「今後余計なことは考えるな、地縛霊に同情して怨念に取り込まれでもしたらお前ごと消すからな」




冷たく云うくせにっあたしが嫌がらないように膝の後ろを抱えておんぶしてくれたり、石段下りるのもすごくゆっくり下りてくれたり…

そのギャップなんなのよっ――!





思いのほか自宅に着くのが早く感じた。
丁寧に下ろしてくれて、恐怖で竦んでいた身体は元通り立てるようになった。


「ありがと…」



あたしを下ろしてすぐに無言で踵を返して帰っていく創護…
見送ってすぐ、パソコンで調べることにした。


…なんだっけああいうの…昔映画であった…


画面に創護が唱えた呪文みたいな言葉を打ち込んで検索する…


黄色の文字で出てきた

 【陰陽師】



「これだ………」



3年ちょっとの間になにがあったの…?



最後に言葉を交わしたあの日から





今日のことは夢じゃない…身体に残る創護の背中の温かい感触がそう訴えていた。

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