この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
明日に架ける橋
第2章 秘めた想い
1日に何度もするという榊の話を鵜呑みにしていただけに、花憐は仕事と言って外にいる間、あらゆる女性と会っていると思っていた。
信じられないという気持ちと、嬉しいという気持ちがない交ぜになり、複雑な気持ちだった。
複数の女性の中の一人に過ぎないのだという寂しさを感じながら清人に抱かれた。
しかし、自分の場合は子作りが目的であり、子供が出来さえすればそれ以上する必要は
なかったし、そこに愛情なども必要なかったのだった。
それでも結婚して以来、清人が誰とも関係を持たなかったことは花憐を安心させた。
だからといって、この先もないとはいえないのだが・・・。
清人が部屋から出てくると、花憐は慌ててお弁当をタッパーに詰めて、荷造りを始めた。
「日光に行こうと思う。行ったことはある?」
「いいえ」
「今は紅葉が見ごろだよ」
車中、二人でいろいろなことを話した。
お互いの幼少時代の話や好きな本の話、家族の話や、趣味の話。清人は仕事で付き合いのある人の話もした。
こうしてゆっくり話をするのは初めてだった。清人は気取ったところもあるが、自分を
驕ることなく、謙虚な性格だということもよくわかった。
「こういう仕事は強気で行く時と、下手に行く時と上手く使い分けないといけない。
プライドばかり重視してたら上にはいけない。屈辱的な想いも散々したよ」
「それでも・・・・お仕事がお好きなんですね」
「好きかどうか考えて仕事はしてないね。一方的に押し付けられて始めたことだから。
まあ、建設よりはマシだと思ってるけど」
「他に何かやりたいことが・・・・?」
質問を受けて、清人は花憐をチラリと見た。
「どうかな・・・・。今はこの仕事で精一杯だから・・・・」
その横顔は何か思うところがあるといったような雰囲気だった。
この人はみんなが思っているよりずっと真面目な人なのかもしれないと花憐は思った。
それは日光に着いてからも感じたことだった。
信じられないという気持ちと、嬉しいという気持ちがない交ぜになり、複雑な気持ちだった。
複数の女性の中の一人に過ぎないのだという寂しさを感じながら清人に抱かれた。
しかし、自分の場合は子作りが目的であり、子供が出来さえすればそれ以上する必要は
なかったし、そこに愛情なども必要なかったのだった。
それでも結婚して以来、清人が誰とも関係を持たなかったことは花憐を安心させた。
だからといって、この先もないとはいえないのだが・・・。
清人が部屋から出てくると、花憐は慌ててお弁当をタッパーに詰めて、荷造りを始めた。
「日光に行こうと思う。行ったことはある?」
「いいえ」
「今は紅葉が見ごろだよ」
車中、二人でいろいろなことを話した。
お互いの幼少時代の話や好きな本の話、家族の話や、趣味の話。清人は仕事で付き合いのある人の話もした。
こうしてゆっくり話をするのは初めてだった。清人は気取ったところもあるが、自分を
驕ることなく、謙虚な性格だということもよくわかった。
「こういう仕事は強気で行く時と、下手に行く時と上手く使い分けないといけない。
プライドばかり重視してたら上にはいけない。屈辱的な想いも散々したよ」
「それでも・・・・お仕事がお好きなんですね」
「好きかどうか考えて仕事はしてないね。一方的に押し付けられて始めたことだから。
まあ、建設よりはマシだと思ってるけど」
「他に何かやりたいことが・・・・?」
質問を受けて、清人は花憐をチラリと見た。
「どうかな・・・・。今はこの仕事で精一杯だから・・・・」
その横顔は何か思うところがあるといったような雰囲気だった。
この人はみんなが思っているよりずっと真面目な人なのかもしれないと花憐は思った。
それは日光に着いてからも感じたことだった。