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明日に架ける橋
第2章 秘めた想い
日光東照宮は、平日にも関わらず人が多く、そこかしこで紅葉を楽しみ、写真を撮る人々がいた。
「家康は遺言に、神として奉るようにと残したんだ。家康は神道について深く学んでいて、
天皇に対抗するために自ら神になろうとしたらしい。天皇の代理として政治をしてきたんだから当然と思ってたんだろうな」
清人の歴史の知識は深かった。
さらには植物の知識もかなりあり、花憐を驚かせた。
「この実がついているのはナナカマド。七回かまどに入れても燃えるというのが由来なんだ。真っ赤な実と紅葉した葉がとても綺麗だろ?」
「カエデとモミジは、学術的には区別がないんだ。切れ込みが浅いのがカエデ。
蛙の手みたいだからそう呼んだらしい。切れ込みが深い方がモミジ。モミジは紅葉する木の総称で、植物分類上ではモミジという科も属もないんだ」
手をつないで、霧降ノ滝へ向かう遊歩道を歩きながら、清人が説明をしてくれる。
美しく紅葉した木々を眺めながらゆっくり歩く。
花憐は大河家を訪れた時に、子供たちが清人と一緒に花を植えたということを思い出していた。
家の庭にもたくさんの花々や木々が植えられている。
きっと清人は植物が好きなのだ。
「とてもお詳しいんですね」
「俺みたいな人間には必要ない知識だと思うだろ?実際、どんなに勉強して優秀な成績を残しても、五番目の子供の学力なんて誰も注目しないんだ。高校生まではいろんなことを必死で勉強したけど、それに気がついてからは真面目に勉強するのが馬鹿らしくなってやめた」
清人は軽い口調で話したが、きっと清人なりに苦悩した結果たどりついた結論なのだろうと思った。
「とても素晴らしい知識だと思います。もっとたくさん教えてください」
花憐が言うと、清人は優しく微笑んで再び様々なことを話して聞かせてくれた。
遊歩道の終点は滝を眺められるように整備されていた。
紅葉した木々の間を荒々しく流れ、白い飛沫をあげる長く大きな滝が見えた。
霧降ノ滝とは、岩壁にあたって飛び散る水しぶきで霧がかかるというのが名前の由来だということだった。
紅葉と滝の美しい風景に、花憐はしばし見惚れた。
「とても綺麗・・・・」
清人も隣でじっと景色を眺めている。
二人の間に会話はいらなかった。一緒に綺麗な景色を眺めているだけで、満たされた気持ちだった。
「家康は遺言に、神として奉るようにと残したんだ。家康は神道について深く学んでいて、
天皇に対抗するために自ら神になろうとしたらしい。天皇の代理として政治をしてきたんだから当然と思ってたんだろうな」
清人の歴史の知識は深かった。
さらには植物の知識もかなりあり、花憐を驚かせた。
「この実がついているのはナナカマド。七回かまどに入れても燃えるというのが由来なんだ。真っ赤な実と紅葉した葉がとても綺麗だろ?」
「カエデとモミジは、学術的には区別がないんだ。切れ込みが浅いのがカエデ。
蛙の手みたいだからそう呼んだらしい。切れ込みが深い方がモミジ。モミジは紅葉する木の総称で、植物分類上ではモミジという科も属もないんだ」
手をつないで、霧降ノ滝へ向かう遊歩道を歩きながら、清人が説明をしてくれる。
美しく紅葉した木々を眺めながらゆっくり歩く。
花憐は大河家を訪れた時に、子供たちが清人と一緒に花を植えたということを思い出していた。
家の庭にもたくさんの花々や木々が植えられている。
きっと清人は植物が好きなのだ。
「とてもお詳しいんですね」
「俺みたいな人間には必要ない知識だと思うだろ?実際、どんなに勉強して優秀な成績を残しても、五番目の子供の学力なんて誰も注目しないんだ。高校生まではいろんなことを必死で勉強したけど、それに気がついてからは真面目に勉強するのが馬鹿らしくなってやめた」
清人は軽い口調で話したが、きっと清人なりに苦悩した結果たどりついた結論なのだろうと思った。
「とても素晴らしい知識だと思います。もっとたくさん教えてください」
花憐が言うと、清人は優しく微笑んで再び様々なことを話して聞かせてくれた。
遊歩道の終点は滝を眺められるように整備されていた。
紅葉した木々の間を荒々しく流れ、白い飛沫をあげる長く大きな滝が見えた。
霧降ノ滝とは、岩壁にあたって飛び散る水しぶきで霧がかかるというのが名前の由来だということだった。
紅葉と滝の美しい風景に、花憐はしばし見惚れた。
「とても綺麗・・・・」
清人も隣でじっと景色を眺めている。
二人の間に会話はいらなかった。一緒に綺麗な景色を眺めているだけで、満たされた気持ちだった。