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明日に架ける橋
第2章 秘めた想い
どうやら清人はどの女性にも’上辺’の付き合いしか求めていないようだった。
それでは自分にはいったいどういうつもりで接してくれているのだろうと花憐は思った。
仮ではあるが、夫婦という関係がどこまで清人をつなぎとめていられるのか、花憐には
わからなかった。

「君の家のことだけど・・・・」
「はい・・・・」

清人はごろんと芝生の上に横になって空を見上げた。

「相続の手続きは終わって、正式に君のものになった。いつでも府中の家で暮らせる。
内縁の妻とかいう女性には早々に出ていってもらった方がいいね。居座ることを許していたらつけ上がる」
「そうですか・・・・」

いよいよあの家が自分のものになったのだ。

しかし、花憐は素直に喜ぶことができなかった。それは清人との生活が終わることを
意味しているからだった。それでもこれが結婚の条件であり、自分が一番望んでいたこと
なのだ。

貴子たちが納得して出ていってくれるかどうかが問題ではあるが、法的に自分のものになった以上、花憐は遠慮をするつもりはなかった。

「スムーズに出ていかないようだったら、俺の’ちょっと悪い’知り合いに頼めばいくらでも協力してくれる。
君の家なんだから、全ての権利は君にある。彼女たちだって無一文なわけではない。
それなりに資金を手に入れてるんだから、納得するさ」

まずは土方から貴子に連絡してもらおうということになった。花憐から直接貴子たちに
接触するわけにはいかないからだった。

現実的な話だった。花憐は改めて清人との便宜上の関係性を感じた。

「・・・・君は何も聞かないし、言わないんだな」

清人がボソリと言った。
花憐は清人に視線を向けた。

「俺が君の財産を、どうしたいか気にならないの?」

清人は横向になり、花憐を見上げた。

「気にならないことは・・・ないです」
「知りたい?」
「・・・・・はい」

清人は今度はうつぶせになって、長く伸びきった雑草を指で弄んだ。
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