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明日に架ける橋
第2章 秘めた想い
「そうだな・・・・。保育園、作るかな」
「保育園?」
「保育園とか、学童保育とか、そういうの」
「子供が好きなんですか?」
「というより、楽しかったんだよね。俺が行ってた保育園が。すごい野生的なの。
山に連れてって裸足でかけまわったり、木にのぼったり、川に飛び込んだり。
ああいう自然とたわむれて育つ環境っていいと思う」
「いいですね。とても素敵なことだと思います」

お金を稼ぐことより、ずっと良いことに花憐には思えた。
清人はクスリと笑った。

「君が素敵なこととか、素晴らしいこと、とかって口に出して誉める時は、きっと本心
なんだろうな」
「本当に良いことだと思います」
「社会的には’良いこと’かもね。けど、残念ながら保育園経営は儲からないって言われてる」

結局はお金が稼げるかどうかが重要らしかった。
清人が保育園を作るということなら、花憐は自分も協力したいと思った。
しかし、この先二人は別々の家で暮らし、別々の生活をしていくのだ。

花憐は家を出るのは一日でも早い方がいいと感じ始めていた。
長くいればいるほど、離れたくなくなるのがわかっていたからだ。

清人の見えなかった部分が見えてくる度に、惹かれているのがわかる。
それは決して容姿や雰囲気といった外見上のものではなく、優しさや強さ、弱さといった
清人の内なるものだった。

清人との過ごす時間と空間が心地よすぎる。失った時のことを考えると胸が痛い。

(早くあの家を出よう・・・・)

花憐と清人は二人静かに紅葉と青空を見つめ続けた。
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