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明日に架ける橋
第2章 秘めた想い
家に帰った時、既に22時をまわっていた。
リビングの明かりをつけるとすぐに清人の電話が鳴った。

「もしもし・・・・うん・・・・・え!?」

清人は動きを止めて、しばらく何か捲くし立てていたが、電話を切ると自室に入っていった。
何かあったのだろうか、と花憐が心配していると、清人は部屋から出てきて花憐に言った。

「店で小火騒ぎがあったらしい。すぐに火は消えて大事にはいたらなかったみたいだけど。
ちょっと今から行ってくる」

そう言って急いで出ていった。
なんだか胸騒ぎを感じながら、花憐は玄関の鍵を閉めた。
先ほど清人が郵便受けから持ってきた郵便物が散乱していた。

手に取ってテーブルに置こうとして、花憐は動きを止めた。
一つの白い封筒だった。花憐宛ての手紙だった。

何か嫌な予感がして封筒を手に取る。
差出人はなく、字は全てパソコンで打たれたものだった。
消印を見ると府中だった。

ドキン・・・・ドキン・・・・ドキン・・・・

そっと封を開く。
中には写真が入っていた。

「!!」

花憐は驚いて思わず写真を床に落とした。
それは花憐の火傷の傷を撮った写真だった。
貴子が病院を探すという名目で撮った写真が、そこにあった。

「どうしてこれが・・・・・」

貴子しか所有しようのない写真がこの家に送られてきた・・・・。
花憐は背筋に冷たいものが走るのを感じた。

貴子は花憐が清人と結婚して、この家にいることを既に知っているのだ。
これは警告なのだ。手荒なことをして連れ戻すのではなく、花憐の意志で戻って来いと
言っているのだ。
お前のような女を誰が愛してくれるというのだと罵られているような気がした。

花憐は家中の戸締りを確認したが、それでも落ち着けなかった。
貴子に見張られている気がした。

花憐は不安と恐怖で今すぐにでも清人のもとへ行きたかった。
しかし、今家を出ることは最も危険なことのように思え、ひたすら清人の帰りを待つしかなかった。

部屋でベッドに入り、うずくまる。
貴子に連れ戻されたらどんな目に合うか、考えただけでも恐怖で体が震えてくる。

その時、花憐の電話が鳴った。清人だった。
すぐさま電話に出る。

「花憐?ごめん、今日は家に帰れないと思う。思ったより被害が大きかった。まいったよ。
悪いけど先に休んでて」

花憐が力なく返事をする前に電話は切れた。
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