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明日に架ける橋
第2章 秘めた想い
自分を助けてくれる人はいないのだ。花憐は自分で自分を守らなくてはいけないのだと気を
強く持とうと努力した。

しかし、火傷を負った時のこと、治療の辛さ、貴子や子供たちに理不尽に殴られ蹴られたことを思い出すと、とたんに体が震え出す。

あの人たちが黙っているわけがないのだ。清人と過ごす中で、目を向けないようにしてきたことが突然現実となって訪れてきた。

(清人さん・・・・清人さん・・・・・)

花憐は祈りを捧げるように、胸の中で繰り返し清人の名前を呼んだ。
次第に、自分が酷い目に合うことよりも、今連れ戻されたら清人ともう二度と会うことが
できないかもしれないということに怯え始める。

清人と離れたくない・・・・!

今までごまかし続けてきた、花憐の本心だった。

花憐はほとんど眠ることなく朝を迎えた。
明るくなり、少し安心したものの、この家にいることが知られてしまった以上、安全だとは
思えなかった。

一日、家の中でひっそりと過ごした。清人に何度か電話をしてみたが、すぐに留守電に
なってしまう。
暗くなるにつれ、恐怖心が再び濃くなっていく。
花憐は人がいるところにいた方がよっぽど安全なのではないかという気持ちになっていた。

(どこか・・・・人がいる場所に行こう・・・・)

清人が家に戻ってくるまでは、外で過ごした方がいいような気がした。
花憐は家の前までタクシーを呼びつけ、さっと飛び乗った。

行き先を尋ねられ、困惑する。考えていなかった。
慌てて榊と会ったカフェの場所を告げた。あそこなら夜でも人が多いに違いない。



家から離れてホッと息をついた。
カフェは夜の装いに変わっていた。一人で入り、お腹はすいてなかったが、パスタを注文した。

ここへ来たのはいいが、これからもこうして逃亡のような真似を続けなくてはいけないのだろうか・・・・。
花憐は土方に電話をすることをすっかり忘れていたことに気がつき、急いで電話をしてみた。

「もしもし、土方です」
「花憐です。こんばんは」
「おお、花憐ちゃん。こんばんは。手続きも滞りなく済んだらしいね。その後どう?」

花憐はおずおずと口を開いた。

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