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明日に架ける橋
第2章 秘めた想い
「あの、家のことなんですけど・・・・」
「府中の家だろう?もちろん君があの家で暮らすよね。あの人たちはどうする?出ていって
もらうよね。やっぱり」
「はい・・・・。でも、そんなにすぐに応じてくれるでしょうか?」
「どうだろうね・・・・。まあ、君に権利があるんだから、応じたくなくても応じなくては
いけないんだから。
早速連絡しておくよ。速やかに家を出ていくようにって」
「貴子さんから連絡はありましたか?」
「最近はないなぁ。彼女たちもそれなりに遺産を受け取ってるし、もう落ち着いたんじゃ
ないのかな」

土方からは情報を得られないと見切りをつけて、他の手段に出たのだろう。
貴子たちに出て行くように通達するという約束をして土方は電話を切った。

花憐は貴子たちが速やかに家を出るはずなどないと思っていた。
清人に協力してもらうのが良いのだろうが、今は清人は店のことで手一杯ですぐに行動に
移してもらえそうもない。催促することもできないと思った。

貴子に居場所が知れてしまった以上、清人が落ち着くまで、別の場所にいた方がいいかもしれない・・・。

そう考えている時だった。榊から電話がかかってきた。

「もしもし」
「花憐ちゃん、こんばんわ~」

榊の陽気な声に花憐は安堵し、泣きそうになった。

「こんばんは・・・・」
「あなた、今、あのカフェにいるんですって?店長から連絡あってさ~」

花憐はホールにいる店長に視線を向けた。花憐と目が合うと手をひらひらと振った。
花憐のことを覚えていてくれたようだ。
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