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明日に架ける橋
第1章 エスケープ
「お前が郵便物を取りに行ったんだね?」

貴子は家に帰ってくるなり、花憐を呼び出して鬼の形相で訪ねた。

「晴彦さんにお願いしたのですが・・・」
「言い訳しろと言ってない!お前が取りに行ったのか聞いてるんだ!」

貴子は花憐の頭をバシン!と叩いた。

「取りに行きました・・・」

すかさず頬に平手が入った。

「っ・・・・・!」
「郵便物に触れるなと何回言ったらわかるんだ。この馬鹿者!」

貴子は気の済むまで花憐を叩き、最後にはいつものように花憐の部屋へ行って、何か
隠してないか探りはじめた。
全てのものが投げ出され、何もないことを確認すると、花憐の部屋に鍵をかけた。

それからというもの、貴子の監視は更に厳しくなった。
買い物に花憐を行かせないようになった。

あとわずかで遺産が入るというのに、花憐が最後の最後で何かしでかすのではないかと
警戒しているのだった。

花憐は内心焦っていたが、いつかチャンスが訪れると心の中で祈っていた。

23日になるまで、監視は厳しくなるどころかいっそう強固なものになっていった。
花憐のそばにはぴったりと貴子がついていたし、岩田は意味もなく庭をうろうろしていた。

花憐は夜遅くなっても、伯母は受け入れてくれると信じ、日中訪れることはもう無理だと
諦めていた。

しかし・・・・

天は花憐の味方をした。

23日の朝9時を過ぎて電話がかかってきた。

掃除する花憐を遠くから見張っていた貴子が電話に出る。

「有坂でございます。・・・あら、まあ。お久しぶりです・・・・。ええ!?今からですか!?」

貴子は驚いた声を上げたあと、満面の笑みで嬉しいですわ、お待ちしておりますと喜んだ様子で電話を切った。

すぐに二階に向かって声を上げる。


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