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明日に架ける橋
第2章 秘めた想い
「夫として・・・・迷惑だと言っているんだ」
「花憐ちゃんが今日どんな思いで一人でいたか、あなたにわかるのかしら!?寂しげで、
とっても不安そうで、何かに怯えてるみたいだった。そんな時に側にいることもしないで、
よく夫だなんて言えるわね!」
「何だって・・・・?」

二人の間に火花が散る。花憐は清人の腕を引っ張った。

「清人さん!榊さんは私の唯一のお友達なの!お願いだからもうやめて。私、今夜一緒に
いてもらって本当に助かったのよ」

清人は花憐を見て苦悩の表情を浮かべた。

「清人さん、お願い・・・・」

花憐は清人を落ち着かせようと、両手で清人の手を包んだ。
清人は目を伏せて、小さく息を吐いた。落ち着こうとしているのだった。

「・・・・わかったよ」


清人は榊に向き直ると、硬い表情で言った。

「花憐が世話になったことは感謝する。しかし、今後は夜遅く連れまわすのはやめてほしい」

今の清人にとって、それが精一杯だったのだろう。
榊は肩をすくめた。

「じゃあ、昼間連れまわすことにするわ。いいわよね。’お友達’だもの」
「・・・・男女間に友情など存在しない」
「ワタシは心はしっかり’女’ですけど」
「そんな不確かなことは信用できない」

清人の言葉を聞いて榊は声を上げて笑った。

「ずいぶん慎重ねぇ!遊び人の台詞とは思えないわ。まるで嫉妬深い、束縛男みたい」

榊の挑発に、花憐はハラハラした。どうしてこうも清人を挑発するのだろう。
清人は鋭い目つきで榊を睨んだ。

「何とでも言えばいい。俺以外の男が花憐に触れることは許さない」

それは清人の激しい心の内だった。
榊がさっと花憐に視線を走らせる。

花憐は榊がこの言葉を言わせるために清人を挑発していたことに気がついた。
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