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明日に架ける橋
第1章 エスケープ
晴彦は大丈夫と言ったが、油断してはいけないと、庭をぐるりと囲うように植えられた
草木の裏に隠れながら門へ向かった。

身を屈めて郵便受けからハガキを取り出す。
なんとなくどこかで晴彦がその様子を伺っていることがわかった。

花憐は門をわずかだけ開き、細い体をすべらせるようにして隙間から外へ出た。

花憐はすぐさま走り出した。
後ろを振り向いたら最後だといわんばかりに、一心腐乱に走った。

岩田がおそらく駅前のパチンコ屋にいるだろうから、駅とは逆の方に向かって走った。
大きな通りまで出て、タクシーを拾おう。

薄汚れた白いシャツに、ヨレヨレの黒いスカート。ボロボロになった靴は走りにくく、
裸足になった方がマシだと思われるほどだった。

ポケットの中で小銭がジャラジャラと鳴る。
花憐は落ちないように手でポケットを押さえた。

気ばかり焦って、足がついていかない。足がもつれて何度も転びそうになる。

(誰にも見つかりませんように・・・・!)

そう願いながら走り続けた。
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