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明日に架ける橋
第1章 エスケープ
どうしたらいいのかわからない様子であたふたする花憐の前に文子は鏡を差し出した。
花憐はゴク・・・と喉を鳴らしてネックレスを見つめた。
美しく輝きを放ち、ずっしりと重いそのネックレスは、花憐が一生手にすることなどできないはずのものだった。
涙がこぼれそうになる。伯母の気遣いが苦しいほど伝わってきた。
「あら、せっかく綺麗にお化粧したのに、泣いたりしたらダメよ」
「ご、ごめんなさい・・・」
花憐は目をしばたかせておぼつかない手つきでネックレスをつけた。
イヤリングは文子がつけてくれた。
「これで完璧ね。さ、もう時間が過ぎてしまったわ。みんなにあなたを紹介するように長男の克彦に言ってありますから、すぐに打ち解けられると思うわ。
疲れたらいつでもお部屋に戻って休んでいいですからね」
「伯母さま・・・。本当にありがとうございます・・・」
文子は花憐の額をそっと撫でて微笑んだ。
「楽しんでね」
「はい・・・!」
花憐は立ち上がって深々と頭を下げると、文子の部屋を出た。
首に感じる、ずっしりと重い感触が今日は特別な日なのだと花憐に思わせた。
オーケストラの演奏が聴こえてくる。人々のざわめきが花憐の胸をわくわくさせた。
どんな人たちがいるのか、全くわからないが、みんなの様子を部屋の隅でひっそりと
見ているだけでも幸せに違いない。
花憐はゴク・・・と喉を鳴らしてネックレスを見つめた。
美しく輝きを放ち、ずっしりと重いそのネックレスは、花憐が一生手にすることなどできないはずのものだった。
涙がこぼれそうになる。伯母の気遣いが苦しいほど伝わってきた。
「あら、せっかく綺麗にお化粧したのに、泣いたりしたらダメよ」
「ご、ごめんなさい・・・」
花憐は目をしばたかせておぼつかない手つきでネックレスをつけた。
イヤリングは文子がつけてくれた。
「これで完璧ね。さ、もう時間が過ぎてしまったわ。みんなにあなたを紹介するように長男の克彦に言ってありますから、すぐに打ち解けられると思うわ。
疲れたらいつでもお部屋に戻って休んでいいですからね」
「伯母さま・・・。本当にありがとうございます・・・」
文子は花憐の額をそっと撫でて微笑んだ。
「楽しんでね」
「はい・・・!」
花憐は立ち上がって深々と頭を下げると、文子の部屋を出た。
首に感じる、ずっしりと重い感触が今日は特別な日なのだと花憐に思わせた。
オーケストラの演奏が聴こえてくる。人々のざわめきが花憐の胸をわくわくさせた。
どんな人たちがいるのか、全くわからないが、みんなの様子を部屋の隅でひっそりと
見ているだけでも幸せに違いない。