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明日に架ける橋
第1章 エスケープ
一階の降りると、階段付近で従兄弟の克彦が花憐を待っていた。
従兄弟と言っても、克彦とは二周り近く歳が離れており、叔父さんといった方がピンとくる
くらいだった。
「花憐ちゃん、お久しぶり。いやー、とても綺麗になりましたね」
「ご無沙汰しております。今日はお招きいただきありがとうございます」
克彦は先ほどの花憐の姿を見ていないから、花憐が着飾っていることに何の違和感も
感じていないようだった。
「少し挨拶にまわってもらおうと思うけどいいかな?」
「はい」
そう返事したものの、花憐は少し遠慮がちに克彦に告げた。
「克彦さん、私こういった会に出席するのは初めてなのです。言葉遣いや作法に全く自信が
ありません。何か粗相をしてしまったら、すぐに教えていただけますか?」
花憐の言葉に克彦は少し驚いた表情を浮かべた。
「あなたなら大丈夫ですよ。それに、最近の若い女性の言葉遣いや作法なんて無いに等しい。
そんなことを気にする方が珍しいくらいです」
気にしないで大丈夫、と微笑んで花憐を広間へと案内した。
花憐は人々の多さと、その華やかさに圧倒された。
大きな広間が二つ続いており、手前では豪華な食事が中央のテーブルに用意され、立食形式になっており人々は立って会話をしたり、壁際の椅子に座って食事をしたりしている。
大きなシャンデリアがキラキラと煌き、オレンジ色の暖かな光りとアールデコ調の鮮やかな壁紙がマッチしていて、それだけでも豪華絢爛な雰囲気なのだが、ところどころにおかれた大きな花瓶には花憐の見たことのない艶やかな花々が飾られていて、生花ならではの自然な香りが漂っていた。
奥の部屋はガラス張りで、庭に出られるようになっており、オーケストラのメンバーが
美しい旋律を奏でている。広く開いたスペースでは、ドレスを着た年配の女性たち、タキシード姿の男性たちがワルツを踊っていた。
映画のような世界に、花憐はただただ圧倒されて、体を縮めて辺りを見回していた。
(私がいていいのかしら・・・)
自分がいることが、とんでもないことのような気がして、花憐は克彦の後ろに隠れるようにして歩いた。
従兄弟と言っても、克彦とは二周り近く歳が離れており、叔父さんといった方がピンとくる
くらいだった。
「花憐ちゃん、お久しぶり。いやー、とても綺麗になりましたね」
「ご無沙汰しております。今日はお招きいただきありがとうございます」
克彦は先ほどの花憐の姿を見ていないから、花憐が着飾っていることに何の違和感も
感じていないようだった。
「少し挨拶にまわってもらおうと思うけどいいかな?」
「はい」
そう返事したものの、花憐は少し遠慮がちに克彦に告げた。
「克彦さん、私こういった会に出席するのは初めてなのです。言葉遣いや作法に全く自信が
ありません。何か粗相をしてしまったら、すぐに教えていただけますか?」
花憐の言葉に克彦は少し驚いた表情を浮かべた。
「あなたなら大丈夫ですよ。それに、最近の若い女性の言葉遣いや作法なんて無いに等しい。
そんなことを気にする方が珍しいくらいです」
気にしないで大丈夫、と微笑んで花憐を広間へと案内した。
花憐は人々の多さと、その華やかさに圧倒された。
大きな広間が二つ続いており、手前では豪華な食事が中央のテーブルに用意され、立食形式になっており人々は立って会話をしたり、壁際の椅子に座って食事をしたりしている。
大きなシャンデリアがキラキラと煌き、オレンジ色の暖かな光りとアールデコ調の鮮やかな壁紙がマッチしていて、それだけでも豪華絢爛な雰囲気なのだが、ところどころにおかれた大きな花瓶には花憐の見たことのない艶やかな花々が飾られていて、生花ならではの自然な香りが漂っていた。
奥の部屋はガラス張りで、庭に出られるようになっており、オーケストラのメンバーが
美しい旋律を奏でている。広く開いたスペースでは、ドレスを着た年配の女性たち、タキシード姿の男性たちがワルツを踊っていた。
映画のような世界に、花憐はただただ圧倒されて、体を縮めて辺りを見回していた。
(私がいていいのかしら・・・)
自分がいることが、とんでもないことのような気がして、花憐は克彦の後ろに隠れるようにして歩いた。