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明日に架ける橋
第1章 エスケープ
花憐は清人の手に手を重ねて立ち上がった。
芝生の足場は悪く、とてもワルツなど踊れそうになかった。

きっと何度も足を踏まれれば、清人も降参するに違いない。
二人は微かに聴こえる音楽に乗せて踊り始めた。

榊も背が高いと思ったが、清人は更に背が高かった。
腰にあてられた手は動いていないのに、なぜだかそこからどこかへ移動しようと疼いているように感じて、花憐はドギマギした。

清人のリードは今日踊った誰よりも流暢で、踊りやすかった。
ただ、体がやたら密着しているような気がして花憐は顔を上げることができなかった。

気をつけていても、やはり何度か清人の足を踏んでしまった。

「ごめんなさい・・・・。あの、痛いでしょう?もう、やめませんか?」
「やめません」

清人はしっかりと花憐の手を掴んで離さなかった。

花憐は大人しく清人の言うとおりにするしかなかった。
しかし、足は今日一日の疲労が蓄積しており、思うように動かず、とうとう躓いて転びそうになってしまった。
清人が花憐の体を抱きすくめ、転ぶのを防いでくれた。

「ごめんなさい・・・。やっぱり、ちょっと疲れているみたい・・・」

清人の体からスパイシーな香水の香りがして、胸がドキリとした。
花憐は急いで離れようと体勢を立て直した。

清人は花憐の体を離そうとせず、抱きしめたまま力を弱めなかった。

「あの・・・・」

見上げると、清人の危なげに煌く瞳にぶつかった。

心臓がドキドキと高鳴り、花憐は無意識に息を止めた。

「あなたは不思議な人ですね・・・・。洗礼された所作もできるのに、こういった所には全く無縁の人間であるような印象も与える・・・」

清人が思いがけず観察力が深いことを示したので、花憐は何かがバレるのを恐れるように視線を反らせた。

(この人は・・・・私を気にいったのではないわ・・・・)

清人はある種の興味と好奇心を持って花憐に近づいたのだ。

文子と花憐の間には普通の伯母と姪の関係ではない何かがある・・・・。それを嗅ぎつけたに違いない。

そもそも、清人のような男だったら、美しい女性など見飽きているはずであり、少々着飾って綺麗になったとはいえ、自分のような女に惹かれるわけはないのだと、花憐は少しいい気になっていた自分を恥じた。

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