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明日に架ける橋
第1章 エスケープ
「本当ですか・・・・!?」
「待って。まだ喜ばないでくれよ。まだ君を信用したわけでもないし、決心したわけじゃないんだ。
でも、俺は自分のことを良くわかってる。この話を蹴ることはないだろう。まずはその弁護士に確認をしないと・・・」
「大河さん・・・!」

花憐は拳を合わせて清人を見つめた。
自然と涙が溢れ、頬を伝った。

清人は、喜ばないでって言ってるのに・・・と小さく呟いてため息をついた。

「まさかこんなことになるなんて思わなかったな・・・・」

清人は花憐の顎に触れて、顔を上げさせた。
目を細めて、わずかに微笑んだ。

「でも、今日初めて君を見た時、ものすごい胸騒ぎがして、これから何か起こるんじゃないかって感じたんだ」

そう言って花憐の唇にそっと口付けた。

「・・・・・!」

柔らかな感触に花憐が驚いた次の瞬間には唇は離れていた。
清人が花憐の体を持ち上げるように抱き上げ、自分の膝の上に横座りさせた。

「結婚するかもしれないのに、キスもしたことないなんて、おかしいだろ?」

それがおかしいことなのかどうか、花憐にはわからなかった。
清人の顔が間近に迫り、花憐は思わず目を瞑った。

心臓がドキドキと高鳴る。
他人の唇がこんなに柔らかく温かいものだということを初めて知った。

清人は先ほどと同じように軽いキスを何度か繰り返したあと、花憐の顎に指を絡めて唇を
わずかに開かせると深く唇を重ねて舌を差し入れた。

「・・・・・っ!」

清人の薄い濡れた唇の感触は、花憐が味わったことのない柔らかな優しい感触だった。

一方で、自分の口内を巧みにうごめく舌は、自分の舌とぬるりと絡み合い、花憐の背筋を
ゾクゾクとさせるのだった。

花憐は抵抗することもなく、体を硬くして清人にされるがままになっていた。
本当なら抵抗するべきなのかもしれないが、清人とキスするのは’嫌なこと’ではなかった。

チュ・・・チュ・・・・クチュ・・・・

静かな庭に二人の唇が合わさる音が響く。

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