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明日に架ける橋
第2章 秘めた想い
「奥様、大河様と花憐様です」
「どうぞ」

先に花憐が部屋へと入る。

「・・・伯母さま、おはようございます」

文子は何か書き物をしていた手を止めて花憐へ向き直り、おはようと微笑んだ。

「それにしても、妙な組み合わせですこと」

そう言って少し厳しい表情で清人の方に視線を向ける。

「おはようございます。鴻池夫人。昨夜はお招きいただき、ありがとうございました」

清人はまったく動じる様子もなく、飄々と挨拶をした。

「お父様はお元気でいらっしゃる?まだお仕事を続けるおつもりかしら」
「それはもう。兄たちがうんざりするほど元気ですよ。まだまだ現役を退く気配はありませんね」
「そう。お元気でなによりだわ。男の人は引退してしまうとすぐに老け込んでしまうから、
働いていた方がいいのよ。あなたの方はいかが?お店は順調?」

文子は清人の父の話から自然と清人の話へと移ったが、どうやらそれが一番聞きたいことのようだった。
わずかに瞳の奥が光る。

「おかげさまで順調です。近々改装する予定なので、少々忙しくしております。ご子息にもまた足を運んでいただきたいですね」
「そうですか。順調でなによりです」

お茶が運ばれ、そこで二人はようやく文子が座っている椅子の前のソファに座った。

「今日は何の御用かしら」

緊張で顔色を悪くしている花憐にさっと視線を走らせてから、文子は清人にむかって訪ねた。

「本日は鴻池夫人にご報告したいことがあります」

清人の態度はいたって普通だった。まるで天気の話でもするかのように軽い口ぶりである。
花憐はうつむいて膝の上で握られた自分の拳をじっと見つめた。

「急な話ではありますが、私と花憐さんは結婚することに決めました。今後は何かとお世話になることもあるかと思います。宜しくお願い致します」

清人の言葉に、文子の表情は明らかに硬くなった。
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