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明日に架ける橋
第2章 秘めた想い
土方と話が終わると、花憐の近くで清人の車が待機していた。

「ごめんなさい。お待たせしました」
「戸籍謄本と転出届を君の住んでいたところまで取りに行こうと思う。場所を教えて」

清人は花憐が車に乗るとすぐに質問した。

「私の・・・住んでいたところですか?」
「そう。役所に行って婚姻に必要な書類を取りに行くんだ」

花憐は貴子たちがそのことを想定して、役所を見張っているような気がしてならなかった。
そもそも、家の近くに行くことを考えただけでもゾッとする。

「すみません・・・。家の近くに行くことはできません。他に方法はありませんか?」
「・・・それなら、俺が代わりに行くしかないな。郵送って手もあるけど、そんな悠長なことはしてられない」

清人は少しイライラした様子で行った。

「ごめんなさい・・・」
「君が謝ることはない。君には何か事情があるみたいだし、もともと準備もなく、
全て急なことなんだ。
すぐに片付くとは思ってない」

清人はまず、印鑑を買いに文具店に立ち寄って、有坂という名字の印鑑を買った。

「とりあえず俺の家に行こう。そこで、君に委任状を書いてもらう。それを持って書類を取りに府中へ行ってくる」
「はい・・・」

花憐は自分から結婚を申し込んだものの、結婚のためには何が必要で、どういう手順を踏むかということを全く知らないでいることを改めて痛感した。
清人がてきぱきと動いてくれることに感謝しなくてはいけないと思った。

貴子はやはり花憐を探している。すぐにでも連れ戻して監禁したいはずだ。
たとえそれが金の上に成り立っている関係だとしても、清人によって救い出され、
守られているのだ。

貴子の手に渡るぐらいなら、清人に財産を譲った方がマシだ。
花憐は初心を思い出して、清人に対して抱いている疑念を少し解いたのだった。
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