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明日に架ける橋
第2章 秘めた想い
保証人の欄に文子の名前が書かれていた。

「これは・・・・」

花憐は驚いて清人を見た。


「今日、もう一度訪ねて書いてもらってきたんだ。保証人は誰でもいいけど、君としては
鴻池夫人に書いてもらうのが一番いいんじゃないかと思ってね」

清人は府中に行った帰りに、再び文子の家を訪ねたのだった。

「他意はないよ。本当に。一般的にはお互いの父親が書くらしいんだけど、君の場合はお父さんもお母さんもいないし、夫人が一番適してるだろ?」
「・・・・伯母さまは何か言っていました?」
「喜んで書かせてもらうと言っていたよ」

花憐は再び婚姻届に目を落とした。
文子の綺麗な字に、愛情がこもっている気がする。

清人もかなり疲れているはずだった。こういった気遣いができることが、清人を更に人気者にしているのだろう。

「ありがとうございます・・・」
「さ、早く食べて」

清人に促されて、花憐は一通り料理を食べた。デザートとコーヒーが運ばれた時は既にお腹いっぱいだったが、残すという概念がない花憐は、全てを食べきった。

清人の家に帰る車中、花憐の眠気はピークを迎え、うとうとし始めた。
自分にもたれ掛るように、清人は花憐の肩を抱き寄せた。

抵抗しようとしたが、疲れに眠気、清人から伝わってくる温もりに勝てそうになかった。

(いい匂い・・・・)

清人はいつもいい匂いがする。こうして体を寄せていると、本当に清人が自分を守ってくれているような気がする。

清人の肩に頭を乗せ、心地よい揺れの中で花憐は眠りに落ちた。
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