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明日に架ける橋
第2章 秘めた想い
目が覚めると朝の5時だった。今までの習慣で、どうも早く目が覚めてしまう。

清人がベッドまで運んでくれたようだが、全く覚えていなかった。
ふかふかの枕が心地よく、もう一度寝ようかと思ったが、喉の渇きを覚えたので、冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出し、一気に半分ほど飲んだ。

外はまだ薄暗い。花憐はシャワーを浴びて、昨日買ってもらった白いシャツに紺のカーディガン、ジーパンに着替えて一階に降りた。

リビングは暗く、キッチンに仄かな灯りがついているだけだった。
花憐は庭に出てみることにした。

庭は定期的に手入れされているようだったが、落ち葉や金木犀の花が散らばり、雑草も少し生えていた。

花憐はしばらくテラスに座って、金木犀の香りの中ぼんやりとしていたが、徐々に明るく
なってくると、立ち上がり掃除道具の物置から軍手と箒、塵取りを持って庭を掃除し始めた。

最初に大きなゴミを集めて、それから雑草を抜き始める。
雑草の手入れが終わった頃はすっかり明るくなっていた。

プールに浮かぶ葉を網ですくい、今度は花壇の手入れを始めた。
バラやカスミ草、コスモスやパンジー、百日紅に芍薬、さまざまな花が植えられていた。

花憐が植物たちに水を与えていると、シャッターを開ける音がした。

「おはよう。早いね」
「おはようございます」

清人はまだ眠たそうに、大きなあくびをしながら庭に出てきた。
ガウンの合わせからなめらかな素肌が見え、花憐はすぐに視線を反らした。

「もしかして、庭の掃除してくれたの?」

清人が庭を見回して、驚きの声を上げた。

「勝手なことしてすみません。雑草が生えていたので・・・」
「そんなことしなくていいのに。頼んでやってもらってるから」
「でも・・・することなくて・・・・」

そう言ってうつむく花憐から如雨露を取り上げ、清人は花憐の手を引いた。

「どうやら君は、一人でのんびり過ごすことができないみたいだね。部屋で本を読んだり、
映画を見たり、ゆっくり食事をしたり、なんでもあるだろ?」
「動いていた方が落ち着くんです」

そもそも、家でどうやってのんびり過ごせばいいのか、花憐にはわからず、時間を持て
余してしまうのだった。


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