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明日に架ける橋
第2章 秘めた想い
清人は美しいものが好きなのだ。家を見ていればわかる。
女性にも自分にも美しさを求めている人に、この体は見せられない。

見られたとたんに、物のように捨てられたら・・・と考えるだけで、絶望を感じる。
この体を誰よりも嫌っているのは自分であり、醜いものだということは十分わかっていた。
子供を授かることはとても魅力的なことだったが、やはり自分には叶えられそうにもない。

暗い気持ちのまま、花憐は着替えるために二階へと戻った。


慣れない手つきで化粧をして着替え終わった頃、清人が部屋を訪ねてきた。
花憐がちゃんと支度ができたかどうかを見にきたのだ。

先ほどの気まずい雰囲気は既に払拭され、いつもの清人だった。

「ちょっと化粧が薄いな・・・」

そう言って、花憐の化粧をし始めた。

ここまでできるとは・・・・。

清人は根っからの女性キラーなのだと、花憐は思った。

最後に全身をチェックし、鏡の前でスーツ姿の自分と並ばせた。

「いいね。美男美女だ」

満足そうに微笑むと、花憐の手をひいて車に乗り込む。
今日も運転手はいなかった。

「一応、昨日両親には電話で伝えたんだ。もしかしたら、簡単な食事会が用意されるかもしれないけど、大丈夫?」
「はい。大丈夫です」
「その後に婚姻届を出しに行こう。銀行での手続きは明日以降だ。君も家を取り戻すのに、
そう時間はかからないと思うよ」

清人はそう言ったが、花憐はそう簡単に貴子たちがあの家から出ていくとは到底思えなかった。

しかし、家を取り戻すのは自分でやることだ。清人とあの家で暮らすわけではない。
清人に世話になるのは、全ての手続きが終わるまでだ。

花憐は自分ももっとしっかりしなくてはいけないのだと、改めて気を引き締めた。
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