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明日に架ける橋
第2章 秘めた想い
「お父さん、彼女の出自は昨日お話した通りです。心配するには及びませんよ」
「心配しているわけではない。お前が急に結婚すると言い出すから、こちらとしても準備ができていないだけだ」
「どんな準備が必要だというんです?大河の5番目が結婚するからといって、お父さんの仕事に何か影響を与えるわけではありませんし・・・。結婚式も披露宴も行う予定はありません。親戚に通達するぐらいは僕がやりますが、他に準備が必要なことなどないと思いますが」
「そういう問題ではない・・・!」

清人の飄々とした態度にイライラするらしく、清人の父は声を荒らげた。


「お父さんは常々早く結婚しろと言っていたでしょう。彼女が役不足とは思えません。
それどころか僕にはもったいないくらいの人です。先ほども言いましたように、僕たちには
時間がありません。どうかご理解いただきたい」

清人の父は、ムス・・・とした表情で、しばらく黙って婚姻届を見つめていた。
清人がペンを手渡すと、ジロ・・・と清人を睨み、荒々しい手つきで保証人の欄に名前を
書き込んだ。

「ありがとうございました」

清人はニコリと笑い、胸ポケットに婚姻届をしまった。

「お食事の席を用意してありますので・・・」

清人の母が花憐に向かって静かに言った。

「兄さんたちも来るんですか?お義姉さんたちも?」
「あたりまえだろう。もう全員揃ってる」

清人はわざとゲンナリした表情をして立ち上がった。花憐の手を取り立ち上がらせると、
両親の前にもかかわらず腰を引き寄せ、二人に聞こえるように囁いた。

「みんなに品定めされて居心地悪いだろうけど頑張って。大丈夫、君が我が家の嫁たちの中で一番美しいから、引け目を感じることは全くない」

清人の両親が、何も言えずに睨んでいるのを感じて、花憐は清人が居心地を悪くしているのではないかと心の中で責め立てた。
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