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明日に架ける橋
第2章 秘めた想い
役所での手続きはあっという間に終わった。
人生の一大イベントという雰囲気は全くなく、いたって事務的に処理された。

区役所を出ると、今度清人は電気店に花憐を連れていき、携帯電話を買ってくれた。
花憐は必要ないと言ったが、清人は譲らなかった。

新しい携帯電話に、自分の番号を登録すると、花憐に渡した。

「使い方は・・・・まあ、そのうち覚えるよ。家の電話だけじゃ不便だろうから。
これは自由に使っていい」

新品の携帯電話を見て、花憐はなんだかくすぐったい気持ちになった。
自分とは最も無縁のものに思えたからだった。
その時、清人の携帯が鳴った。

「もしもし・・・うん・・・・え?・・・・・うん・・・・・」

女性の声が微かに聞こえてくる。
花憐は自分から少し離れて、清人を待った。

電話が終わると、清人は申し訳なさそうに花憐を呼んだ。

「ごめん、今から店に顔出さないといけなくなった。料理を持って、先に家に帰ってくれる?タクシーつかまえるから待ってて」

そう言って、大通りへと走っていった。

花憐にはなんとなく仕事ではないということがわかっていた。
女性関係を絶つ必要はないと自分から言ったものの、やはり気になるものであった。
正式に結婚した後ならなお更である。

花憐は大人しくタクシーに乗り込んだ。
清人は花憐に家の鍵を渡し、夕方には帰ると言って手を振った。
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