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明日に架ける橋
第2章 秘めた想い
花憐はとたんに孤独を感じた。
結婚して、伴侶ができたといはいえ、やはり便宜上の結婚では心が満たされることはないのだった。

両親を亡くし、愛情に飢えている自分は、やはりどこかで誰かに愛され、愛することを求めている・・・。

そう客観的に分析してみたところで、なにも変化はなかった。
清人の家に着くと、よりいっそう寂しさを感じた。

今頃清人は別の女性と過ごしているのだ・・・。
これからも、きっと何度もこういう気持ちになるのだろう。
清人とこれ以上親密にならないよう、行動を慎まなくてはいけない。

一刻も早く家を取り戻し、あの家で静かに暮らしたい。
そう思う一方で、一人で生きていく寂しさも感じていた。

花憐は料理を冷蔵庫にしまい、酒はどこにしまったらいいのかわからなかったので、
日の当たらない場所にかためて置いた。

水色のコットンシャツと、ジーンズに着替えると、昨日買ってもらった服や下着を一気に洗濯し、靴や化粧品を整理し始める。
部屋と浴室の掃除を終え、一息ついた時には夕方になっていた。

花憐の母が文子にプレゼントしたというバッグが目に入り、クローゼットの中に仕舞おうとした時、ふと思いついてバッグの中から榊の名刺を取り出した。

あの時のお礼が言いたかったのと、結婚の報告をしようと思ったのだった。
何より、誰かと話がしたいと思った。

清人が買ってくれた携帯で、榊に電話をかけてみる。
仕事中かもしれない。少し鳴らして出なかったらすぐに切ろうと思っていた。

「もしもーし!」

花憐の心配をよそに、榊はすぐに電話に出た。
花憐は急に緊張し、言葉がすぐに出てこない。

「あ、あの。私・・・・花憐です。文子伯母さまのところでお世話になった・・・・」
「あら、あら、ハイハイ。花憐ちゃんね!」
「すみません、お仕事中ですよね?」
「あ、全然大丈夫!今移動中だから」

榊の明るい声を聞いて、花憐はなんだかホッとしたのだった。

「この間は、お世話になりました。ありがとうございました」
「いいのよー。仕事だもん。でも、あれからもちょっとあなたのこと、気になってたのよねぇ。
どうだった?たくさん声かけられたでしょ。いろんな男の足を踏んだんじゃない?」

榊がクスクス笑っている。つられて花憐も笑った。

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