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明日に架ける橋
第2章 秘めた想い
「前も言ったけど、彼の経営しているクラブ、大打撃を受けたみたい。もちろん、
他のクラブもそうよ。
たくさんの店が潰れたからね。潰れなくても会員費値下げしたりして頑張ってるところも
あるみたいだけど、彼はそういうことはいっさいしないで頑張ってたのよね。高級を売りにしてるからさぁ。
けど、客が来なかったら借金もかさむじゃない」

もちろん初めて聞く話だった。真相を清人に追究したことはないが、だいたいはそういうこと
なのだろう。

「一応、老舗のクラブってことになってるのよ。彼の父上が誰かから買い取ったらしくて。
だから潰すにも潰せないんじゃない?それに、父親から託された手前、プライドっていうの?
資金援助してもらわないで頑張ってるんじゃないかしら。今、改装してるでしょ?
あれも最後の一手というか背水の陣というか。巻き返しを狙ってやってるんでしょうけど、
もちろん更に借金を抱えての挑戦だろうから、あなたの資産はとっても魅力的だったと思うわ」

榊に言われて、花憐はとても納得できた。
父親に頼りたくないという気持ちは、清人はおそらく兄弟の中でも誰よりも持っているものだと思えた。

「でもさ、あなた、いいの?あいつに財産渡しちゃって。仕事以外にも注ぎ込むかもしれないわよ?」

榊は清人の女性関係を危惧して言っているのが花憐にもわかった。

「いいんです・・・・。私、清人さんの交友関係に口出しするつもりはありませんから・・・・」
「あらやだ。明治女みたいなこと言うのね。そんなの、いつかきっと無理がくるわよ。女ってなんだかんだ言って自分だけ愛してくれる人を求めてしまうんだから」
「・・・・・・」

榊の言うこともわかる。しかし、自分だけを愛してほしいと清人に言うことはできなかった。
花憐自身、そうして欲しいと思えなかったし、清人の方もそんなことは不可能だと感じているに違いないからだった。

「いいんです。今は・・・・この生活が気に入ってますから・・・・」
「そう・・・・・」



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