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明日に架ける橋
第2章 秘めた想い
「でも、この香水つけてたら・・・・♪頑張ってね!!」

変な励ましを受けて、花憐は苦笑いした。
子供のことは毎日考えるようになった。
しかし、清人と子作りする機会は訪れず、あれ以来触れ合うこともなかったのだった。

榊は夜に仕事が入っているので、ショッピングを終えて別れることとなった。

「また近々お茶しましょうね」
「榊さん、ありがとうございます」
「いいえ。こちらこそ。あなたってなんだか妹みたいで、私もとっても楽しいのよ。
何かあったらいつでも連絡してね」

榊は花憐がタクシーに乗るのを見届けてくれた。
香水を手にとり、綺麗な小瓶を見つめる。
友達とショッピングしてお茶をして・・・・。
こんな風に楽しめる時がくると思ってなかった花憐にとって、榊はとてもありがたい存在だった。

榊が教えてくれたファッションのことやおしゃれのこと、芸能界のことや、性のこと。
面白おかしく話してくれるので、思い出してはつい笑ってしまう。

上機嫌で清人の家に帰ると、夕方にも関わらず清人が家にいた。
シャワーを浴びたばかりで、ガウン姿でグレープフルーツジュースを飲んでいた。

「お帰り」

清人はりんごを剥こうとして包丁を握っていた。

花憐は慌てて私がやります、と言って包丁を受け取った。

「ずいぶん早いんですね」
「今日は夜パーティーなんだ。君と会ったときみたいなやつね。君こそオシャレして、どこに行ってたの?」
「お友達とお茶に・・・・」

清人は、ふーん・・・と言って花憐をじっと見つめた。
友達とはいえ、一応榊は男である。そのことはなんとなく言わない方がいいだろうと思い、花憐は黙っていた。

「・・・・なんか、いい匂いがする」

そう言って花憐の首筋に鼻を寄せた。
ドキリとしてりんごを落としそうになる。

「香水を・・・・」
「買ったの?」
「いえ・・・・。いただきました・・・・・」

清人の体からは石鹸の香りが漂う。
花憐はなぜかドキドキと緊張し、すぐに清人から離れようと、りんごを急いで剥いた。

剥けたりんごを清人はシャク・・・・と食べながら、花憐の側から離れず様子を伺う。
花憐は見られている居心地の悪さを感じ、清人と目を合わせることができなかった。

突然、花憐の耳に清人が噛み付いた。

「!」
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