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アディクション
第1章 一目惚れ
私が「彼」を見つけたのは偶然だった。
本当にたまたまだった。
運命と呼べるような予感や前兆なんてものは一切感じなかったし
だからと言って、誰かの差し金でも、狙いでもなかった。
たまたま、私は、彼を見つけてしまった、だけだった。
「佳奈さ、もうそろそろ彼、作っても良いんじゃない? 彼なんてどうよ? タイプそうじゃない?」
と言って私の行く末を勝手に心配する友人たちの余計なお節介の末ではなく。
私は、私の本能のままに。
磁石に吸い付けられるように。あるのかどうか分からない運命に引き寄せられるように。私の視線はただ一点、彼に釘付けになった。目が離せなくなってしまった。
華やかに彩る音も光も届かない場所で。
客席の私と、ステージ上の彼。
この世にはこの2つの生命しか存在しないかのように。
私の周りの全ての音はかき消され、私たち以外の全ての生命体は息を潜めた瞬間だった。
本当にたまたまだった。
運命と呼べるような予感や前兆なんてものは一切感じなかったし
だからと言って、誰かの差し金でも、狙いでもなかった。
たまたま、私は、彼を見つけてしまった、だけだった。
「佳奈さ、もうそろそろ彼、作っても良いんじゃない? 彼なんてどうよ? タイプそうじゃない?」
と言って私の行く末を勝手に心配する友人たちの余計なお節介の末ではなく。
私は、私の本能のままに。
磁石に吸い付けられるように。あるのかどうか分からない運命に引き寄せられるように。私の視線はただ一点、彼に釘付けになった。目が離せなくなってしまった。
華やかに彩る音も光も届かない場所で。
客席の私と、ステージ上の彼。
この世にはこの2つの生命しか存在しないかのように。
私の周りの全ての音はかき消され、私たち以外の全ての生命体は息を潜めた瞬間だった。