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アルルの夜に始まる恋
第2章 アルルの夜
車中はずっと二人でおしゃべりをして過ごした。

小夜はロイの話に、じっと耳を傾け、わからない英単語が出てくると少し首をかしげるので、ロイは小夜のわかる単語でそれを言い換えてあげるのだが、その行為は全く苦ではなかった。

むしろ、そうすることで小夜が理解したとうんうんと頷くと、嬉しい気持ちになる。

あっという間に時が過ぎ、二人はアルルにたどり着いた。

しかし、もう夜の9時を過ぎている。泊まるホテルを探したほうがいいだろう。
駅にはタクシーもなく、電話でタクシーを呼び出し、アルルの中心地まで連れていってもらう。

空きがないのを覚悟でアルルの中心地にあるホテルをあたった。
しかし、幸運にも二部屋あいていた。

元は修道院だったらしく、綺麗に改装されていた。エントランスには大きなマリア像があり、
装飾しすぎない静かな雰囲気はまさに修道院を思わせる。
中庭も綺麗に剪定され、昼間はきっとまぶしい日差しが入り込むだろうと思わせた。

小夜はとても気に入ったらしく、目を輝かせて喜んだ。

「素敵・・・こんなところに泊まれるなんて・・・」
「明日はアルルをゆっくり観光しよう。そして明日の夕方パリに戻ればいい」

小夜は頷いた。ロイは小夜の部屋の鍵を渡した。部屋を案内してくれたホテルの従業員が部屋の説明を簡単にして出ていくと、ロイと小夜はそれぞれ部屋で一休みすることにした。

窓を開け、外を眺める。アルルの町はパリと比べて静かで、時間もゆっくり流れている気がする。

ロイは来る予定のなかったアルルに今いるということを改めて不思議に思った。
普段はあまりこうやって思い切ったことはしない。たまにはいい。

ふと、小夜が言っていたことを思い出す。

Le Cafe de soirの絵を見てアルルに行きたいと思ったと言っていたが、あのカフェは現存すると聞いたことがある。

明日夕方帰るのであれば、絵と同じように夜のカフェテラスを見るなら今夜行くしかない。

ロイは部屋を出て、隣の小夜の部屋のドアをノックした。

「小夜、入ってもいい?」
「どうぞ」

すぐに返事が返ってきて、鍵が開けられた。

「ねえ、Le Cafe de soirの絵のカフェに行ってみない?明日帰るなら、今夜しか絵の雰囲気は味わえないと思ってね」
「あのカフェって、今も存在するの?」

小夜は驚いて聞いた。
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