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君の瞳に映る白い花【おまけ追加しました】
第2章 芽吹いた想い
「おう」
「・・・・おはよ」
「何をこそこそ話してた」
昌子の姿はばっちり見られていたようで、悠は汗をタオルで拭きながら睨み付けた。
この寒さの中、汗をかいていかにも暑そうだった。吐く息が真っ白だった。
「悠に・・・・良い人がいないか、探っておいてって」
「ふーん・・・・。で?私なんですって言った?」
「言うわけないでしょ」
悠は冬子がしているように金網によりかかって水を飲んだ。
いつもより二人の距離が近い気がして、冬子は落ち着かなかった。
うつむいて尋ねる。
「やっぱり、おばさんたちのこと考えて・・・・だよね」
「何が?」
「孫の顔見せてあげたいな、とか」
「まあ・・・・・それもないことないけど」
悠はもう一度ごくごくと水を飲んだ。冬子は靴で足元にある小石を軽く蹴った。
では何がきっかけなのだろう。悠が結婚などと言い出すなんて・・・・。
「お前さー、25年一緒にいて、一度もないわけ?俺の嫁さんになりたいなーって。これだけ良い男なんだから一度くらい思ってもいいだろ」
「ないよ。だって悠のまわりにはいつも女の子がいたじゃん。悠が好きかどうかに限らず。あれだけいろんな子が悠のお嫁さんになりたがってるの見て、自分も・・・なんて思わないよ」
「俺がお前以外の女と結婚して、お前はいやじゃないの?」
冬子は目線だけ悠に移した。悠は池の方に体の向きを変える。冬子もそれに続いて向きを変えた。
悠が誰かと結婚して、この家にお嫁さんと子供と暮らす・・・・。
そんな想像をしてみる。今までも改めて想像することはなかったが、いつかはそういう時がくるだろうとは思っていた。それが自分だと考えたことは本当に一度もない。
「いやかもしんないし・・・・。わからない」
「俺はそれがいやだと思ったよ。冬子がこことは別の場所で俺の知らない男と暮らして、たまにおばさんに会いに来て、その男がおばさんの手料理食べて、お義母さん美味しいです!とか言って・・・・・」
金網に乗せている冬子の手に悠が手を重ねた。
「!」
二人の冷たい指先が触れ合う。悠は暖かさを求めるようにぎゅ・・・と冬子の手を握った。
「それをしていいのは俺だけだ。そうだろ?」
「・・・・おはよ」
「何をこそこそ話してた」
昌子の姿はばっちり見られていたようで、悠は汗をタオルで拭きながら睨み付けた。
この寒さの中、汗をかいていかにも暑そうだった。吐く息が真っ白だった。
「悠に・・・・良い人がいないか、探っておいてって」
「ふーん・・・・。で?私なんですって言った?」
「言うわけないでしょ」
悠は冬子がしているように金網によりかかって水を飲んだ。
いつもより二人の距離が近い気がして、冬子は落ち着かなかった。
うつむいて尋ねる。
「やっぱり、おばさんたちのこと考えて・・・・だよね」
「何が?」
「孫の顔見せてあげたいな、とか」
「まあ・・・・・それもないことないけど」
悠はもう一度ごくごくと水を飲んだ。冬子は靴で足元にある小石を軽く蹴った。
では何がきっかけなのだろう。悠が結婚などと言い出すなんて・・・・。
「お前さー、25年一緒にいて、一度もないわけ?俺の嫁さんになりたいなーって。これだけ良い男なんだから一度くらい思ってもいいだろ」
「ないよ。だって悠のまわりにはいつも女の子がいたじゃん。悠が好きかどうかに限らず。あれだけいろんな子が悠のお嫁さんになりたがってるの見て、自分も・・・なんて思わないよ」
「俺がお前以外の女と結婚して、お前はいやじゃないの?」
冬子は目線だけ悠に移した。悠は池の方に体の向きを変える。冬子もそれに続いて向きを変えた。
悠が誰かと結婚して、この家にお嫁さんと子供と暮らす・・・・。
そんな想像をしてみる。今までも改めて想像することはなかったが、いつかはそういう時がくるだろうとは思っていた。それが自分だと考えたことは本当に一度もない。
「いやかもしんないし・・・・。わからない」
「俺はそれがいやだと思ったよ。冬子がこことは別の場所で俺の知らない男と暮らして、たまにおばさんに会いに来て、その男がおばさんの手料理食べて、お義母さん美味しいです!とか言って・・・・・」
金網に乗せている冬子の手に悠が手を重ねた。
「!」
二人の冷たい指先が触れ合う。悠は暖かさを求めるようにぎゅ・・・と冬子の手を握った。
「それをしていいのは俺だけだ。そうだろ?」