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君の瞳に映る白い花【おまけ追加しました】
第2章 芽吹いた想い
冬子の心臓の鼓動が早まる。いつも綺麗だと見惚れていた指が自分を掴んでいる。
冬子は落ち着きなく視線を彷徨わせ、悠から離れようとした。
「・・・私、帰るね」
悠はす・・・と手を離した。が、間髪いれず、冬子の肩を抱いて引き寄せ冬子の顔を覗き込んだ。
「逃げんなよ」
悠の鋭い眼差しが目前に見えて冬子は息を呑んだ。
冬子の肩を抱く悠の手にわずかに力が入る。
悠が更に顔を寄せた。冬子は咄嗟に横を向いて顔を逸らす。
悠が『ム・・・・』としたのが雰囲気で伝わる。
冬子の腰に手を下げてぐいと引き寄せると、耳にキスした。
「!!」
冬子が驚いて悠を見上げた瞬間に悠は冬子の唇にチュ、とキスする。
冷たく柔らかな唇の感触を感じて、冬子は目を見開いた。力を込めて悠の体を押すが、悠は離れなかった。
「悠・・・・・!」
「少し黙れ。動くな。大人しくしてろ」
そう言うと、再び唇を合わせた。
冬子の唇を啄ばむような優しいキスだった。
冬子は身動きが取れずじっとしていた。
握り締めた手が震えているのが自分でわかった。
チュ・・・・チュ・・・・・
悠の冷たい唇が徐々に熱を帯びていく。悠の吐息を間近に感じて冬子の鼓動は更に早まった。
冬子はゆっくり目を閉じた。柔らかな悠の唇の感触だけに集中すると、今まで感じたことのない安堵感を覚えた。
悠がそっと唇を離し、冬子の表情を確認するように目を覗き込んだ。
「いやじゃないだろ?」
「・・・・・・・・」
「もっとしたい?」
冬子は思いがけない問いにか~と顔を赤くした。
この男はどうしてこういうことを恥ずかしげもなく聞けるのだろうか。
悠がじっと冬子の返事を待っている。からかってるのではないことがわかる。
「うん・・・・・」
冬子は正直に答えた。嘘をついたところで、悠には全てお見通しなのだ。