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君の瞳に映る白い花【おまけ追加しました】
第1章 思いがけないプロポーズ
「冬子!」
三沢冬子は駅の改札を出て折りたたみ傘を差そうとしていた。
冬子は聞きなれた声のする方に顔を向けた。
「悠・・・・・」
神代悠は両手をコートのポケットに突っ込み近づいてきて言った。
「傘いれて」
冬子から傘を受け取って自分で差そうとはしない。
冬子は自分より背の高い悠を傘に入れるため腕を伸ばした。
「今まで仕事?」
悠はせっかちで歩くのが早い。
冬子の歩調に合わせるようなことはしない。自分のペースで歩き、それに冬子が合わせるべきだと当然のように思っている。
冬子の歩きは基本のんびりだ。冬子は一生懸命歩いた。
「あぁ。お前は?」
「私は飲みの帰り」
「ふーん。男?」
「うん」
男といっても付き合ってるというわけではない。まだ知り合ったばかりで友達というほどの関係でもない。冬子は手短に説明した。
悠はまたふーん、と言ってスタスタと歩いていく。
もはや冬子は小走り状態だった。悠の頭上に傘をキープすることに必死で、自分が濡れてることに気がつかない。
冬子の長く艶やかな髪がしっとりと濡れた。縦巻きに軽く巻いた黒髪は、色白で大きなネコ目の冬子によく似合っている。
「おい、少し付き合えよ」
悠はそう言うと居酒屋の前で立ち止まった。
「え、もう11時だよ」
冬子の言葉を聞かず、悠は店の中に入っていった。
冬子は小さくため息をついて携帯を取り出した。家で待つ母に電話する。
「・・・・もしもし、お母さん?」
「うん、まだ飲み会?」
「ううん。もう駅着いたんだけど、悠に会って。ちょっと一緒にご飯食べてくる」
「はいはーい。ごゆっくりー」
母は陽気に答えて電話を切った。背後から聞こえる音声でヨガのDVDを見ていることが伺
える。最近嵌っているのだ。
店に入ると悠はすでにビールを二つ注文していた。
三沢冬子は駅の改札を出て折りたたみ傘を差そうとしていた。
冬子は聞きなれた声のする方に顔を向けた。
「悠・・・・・」
神代悠は両手をコートのポケットに突っ込み近づいてきて言った。
「傘いれて」
冬子から傘を受け取って自分で差そうとはしない。
冬子は自分より背の高い悠を傘に入れるため腕を伸ばした。
「今まで仕事?」
悠はせっかちで歩くのが早い。
冬子の歩調に合わせるようなことはしない。自分のペースで歩き、それに冬子が合わせるべきだと当然のように思っている。
冬子の歩きは基本のんびりだ。冬子は一生懸命歩いた。
「あぁ。お前は?」
「私は飲みの帰り」
「ふーん。男?」
「うん」
男といっても付き合ってるというわけではない。まだ知り合ったばかりで友達というほどの関係でもない。冬子は手短に説明した。
悠はまたふーん、と言ってスタスタと歩いていく。
もはや冬子は小走り状態だった。悠の頭上に傘をキープすることに必死で、自分が濡れてることに気がつかない。
冬子の長く艶やかな髪がしっとりと濡れた。縦巻きに軽く巻いた黒髪は、色白で大きなネコ目の冬子によく似合っている。
「おい、少し付き合えよ」
悠はそう言うと居酒屋の前で立ち止まった。
「え、もう11時だよ」
冬子の言葉を聞かず、悠は店の中に入っていった。
冬子は小さくため息をついて携帯を取り出した。家で待つ母に電話する。
「・・・・もしもし、お母さん?」
「うん、まだ飲み会?」
「ううん。もう駅着いたんだけど、悠に会って。ちょっと一緒にご飯食べてくる」
「はいはーい。ごゆっくりー」
母は陽気に答えて電話を切った。背後から聞こえる音声でヨガのDVDを見ていることが伺
える。最近嵌っているのだ。
店に入ると悠はすでにビールを二つ注文していた。